私は、体重の変化には興味があります。
なぜ今日の体重が増えたのかを考えるのが、
いつの間にか日課になっていました。
夜に体重がいつもより多めだったら、
「今日、何をしていた?
体重が増えるような要因はあったかな」
と振り返ります。
昼にご飯を大盛り食べたことや、
便通がなかったことを思い出して、
「ああ、なるほど」と納得する。
そうやって数字の変化を見つめているうちに、
だんだんと興味の矛先が
”体そのものの仕組み”に向かいました。
なぜ、体重が増えるのか。
「食べたから太る」だけでは
説明しきれない気がする。
たとえば同じものを食べても、
太る人と太らない人がいるのはなぜ?
脂肪って、どんなふうに
体に貯まっていくんだろう?
調べていくうちに、
そこには思っていた以上に緻密なメカニズムがありました。
そして、単なる「太る・痩せる」の話を超えて、
体の中で繰り広げられる
エネルギーのやり取りの面白さ
に気づいたのです。
「太る」という現象の裏には、
体の緻密な仕組みがありました。
体型や体重に関係なく、知るだけで
「なるほど、体はこうやって反応するのか!」
とワクワクします。
今回は、その仕組みを詳しく、
面白く紹介していきたいと思います。
脂肪細胞の基本
脂肪細胞は、皮下脂肪や内臓脂肪などに分布していて、
成人では約 300億個 ※あるといわれています。
※計算の仕方が諸説あり、
数十億個~数百億個が推定値と言われています。
今回は、日本化粧品検定1級テキストより抜粋しました。
この脂肪細胞って、
とても面白くて
ひとつひとつの脂肪細胞が太ることで
体重増加や肥満になるんです。
どういう事か、詳しく説明しますね。
1. サイズで太る
まず、脂肪細胞は
エネルギーを過剰に摂取すると
その中に脂肪を蓄えます。
- 脂肪細胞1個の体積が大きくなる
- この状態を 「サイズで太る」 と言います
脂肪細胞は、普段は
小さなエネルギーの貯蔵庫ですが
食べすぎや運動不足によって
余ったエネルギーが入ると、どんどん膨らみます。
通常は、脂肪細胞は
1.3倍くらいまで膨らむことができます。
つまり
最初の体重増加は、この
細胞のサイズの変化 が主役なのです。
- サイズで太る段階では、脂肪細胞の「数」は変わらない
- 体重が少し増えても、まだ細胞の数は一定
2. 細胞の数が増える(肥満の本質)
しかし、脂肪細胞には限界があります。
膨らむだけでは、体に余ったエネルギーを
すべて蓄えることはできません。
そこで体は、
新しい脂肪細胞を作る
という方法に切り替えます。
- 前駆脂肪細胞(プレアディポサイト)が分化し、脂肪細胞になる
- これを 「脂肪細胞の増殖」 と言います
この段階で、肥満の本質が見えてきます。
膨らみきって入りきらなくなると、体は
「新しい倉庫をつくる」ように
脂肪細胞を分裂・増殖させるんです。
その結果、
肥満の人では脂肪細胞の数が
約2倍の600億個ほど になることもあるそうです。
- 通常成人:脂肪細胞 約300億個
- 肥満の人:細胞分裂によって 約 600億個 !
つまり、肥満は
「脂肪細胞が大きい状態」だけでなく、
「脂肪細胞の数自体が増えている状態」
でもあるのです。
一度増えた脂肪細胞は減らない
そして、ここからが厄介。
ダイエットで脂肪そのものの
”かさ”を減らすことはできますが、
脂肪細胞の数は減らないんです。
つまり、
いったん増えた「倉庫」は残ったまま。
体は“いつでもまた蓄えられるように”という
エネルギー確保モードを維持しているのです。
だから、痩せても太りやすさが残る。
それは意志の問題ではなく、
体の仕組みがそうなっているから なんですね。
- 一度増えた脂肪細胞は減らない
- ダイエットで脂肪を落としても、太りやすさは残る
- 体が「エネルギーをためやすい状態」を維持する仕組みになっている
皮下脂肪結合組織との関係(補足)
さらにさらに、
老化との関係性にも着目です。
脂肪はただ体の中にあるわけではありません。
脂肪たちは 皮下脂肪結合組織
というコラーゲンの繊維に包まれて
皮膚の下でひとつの“塊”のように
支えられています。
この結合組織は、脂肪と皮膚を支える
ネットのような役割を持っています。
ところが――
加齢とともにコラーゲンは
少しずつ減少していきます。
すると、ネットの結束力が弱まり、
皮膚を支える力が落ちてしまう・・・
結果として、肌が重力に負けて
“たるむ”という現象が起こります。
つまり、
太る・痩せるの話と
見た目のたるみは別の話だということ。
「脂肪細胞が肥大・増殖すること」と、
「皮膚がたるむこと」は、
まったく別のメカニズムなのです。
- 脂肪細胞の肥大・増殖 → 体重や肥満に直結
- コラーゲンネットの衰え → 皮膚のたるみに直結
この二つを分けて考えると、
体の仕組みがより面白く見えてきます。

まとめ
私たちの体は、日々の食事や
運動に敏感に反応しています。
でもその反応は、ただの
「太る・痩せる」という
単純な現象ではありません。
脂肪細胞の大きさが変わることで
一時的に体重が増え、
数が増えることで肥満が固定化する。
しかも一度増えた脂肪細胞は減らない。
体は、私たちが思っている以上に
“生き延びるためのシステム”
として設計されています。
たとえば、飢餓の時代には
少しでもエネルギーを溜め込めることが
生存に有利でした。
その名残が、現代では
“太りやすさ”という形で残っているだけ。
つまり、私たちの体は怠け者ではなく、
とても優秀な省エネ設計なのです。
だからこそ
体重の増減を
「努力の結果」だけで判断するのは、
少しもったいない気がします。
むしろ、
「今日はなぜこうなったんだろう?」と
自分の体の反応を観察してみる。
その小さな変化の積み重ねが
体との上手な付き合い方を教えてくれるのだと私は考えています。
さらに
皮膚の下では
コラーゲンのネットが脂肪を支え、
その結束力が年齢とともに変化していく。
体重の増減と見た目の変化が
別物だということを知るだけでも、
“数字に一喜一憂しすぎない”
そんな
視点が持てるようになります。
体は常に
合理的に、そして健気に働いている。
その仕組みを知れば知るほど、
「なんだ。私の体って
ちゃんと理由があって動いているんだな」
って、ちょっと愛しくなる。
そんなふうに思えたら、
日々の体重計も、少し違う見方ができるかもしれませんね。
お読みいただきありがとうございました。










