先日ご紹介した、手のひらの化粧水の上に
スクワランオイルを1滴垂らしてこすり合わせ、
ハンドプッシュする使い方。
「ただ混ぜるだけ」で
肌にすっとなじむあの感覚、実は
乳化 という現象が関わっています。
乳化という言葉は聞いたことがあっても、
実際に肌で何が起きているのかは
イメージしにくいですよね。
そこで今回は、乳化の仕組みと
化粧品でよく使われる
入れ方の種類や
乳化剤について整理してみます。
Contents
そもそも乳化とは?
乳化とは、
水と油のように本来混ざらない成分を
安定して混ぜ合わせることを指します。
化粧品の世界では、
油性成分と水溶性成分を混ぜたとき
お互いが分離せず
均一に分散する現象を乳化と言います。
例えば、
水とオリーブオイルを
コップに入れて混ぜると
しばらくは混ざって見えていても
時間が経つと油と水に分かれてしまいます。
化粧品で使われる乳化では
油滴を微小な粒にして水中に分散させたり
逆に
水滴を油の中に閉じ込めたりして
分離しない状態を作ります。
乳化は単なる混ぜ合わせではなく
化粧品のテクスチャーや
肌への浸透、保護力を左右する
重要な技術です。
手作り化粧水や市販の乳液・クリームでも
この乳化の仕組みが働いて
使い心地や保湿力が変わるわけです。
乳化の種類と肌での働き
表記されている化粧品は少ないですが、
目的によって選ぶときの参考になります。
乳化には大きく分けて、
「オイルインウォーター型(O/W型)」
と
「ウォーターインオイル型(W/O型)」
の2種類があります。
オイルインウォーター型(O/W型)
- 水が外側、油が中に分散
- 乳液や軽めのクリームで、水溶性成分が浸透しやすい
わたしが先日お伝えした
”手のひら即席乳化”も、これ。
化粧水にスクワランを1滴、は、
水の量が圧倒的に多いため
O/W型に近い状態になります。
肌に塗ると、
化粧水の水溶性成分は角質層に浸透し
スクワランは薄い油の膜を作って
蒸発を防ぐ――
まさに
「浸透+フタ」のコンビネーション
が成立するわけです。
ウォーターインオイル型(W/O型)
- 油が外側、水が中に分散
- クリームやバームで、保護力が高く、水溶性成分はゆっくり浸透
バターの中に
水分が閉じ込められているイメージで
しっとりリッチな感覚で
肌をしっかり守ります。
乾燥肌向けのクリームやバームで使われることが多く、水溶性成分はゆっくり角質層に浸透します。

牛乳とバターでイメージする乳化
オイルインウォーター型(O/W型)=牛乳
- 水が主役で、油は小さな粒として中に浮かんでいる状態
- 軽くてさらっとした使用感
- 水溶性成分が肌にすっと浸透しやすい
ウォーターインオイル型(W/O型)=バター
- 油が主役で、水は中に閉じ込められている状態
- しっとりリッチな感覚で肌表面を守る
- 水溶性成分はじわじわ浸透
牛乳もバターも
素材は全く同じもの。
身近なものに例えると
面白いですよね。
O/W型・W/O型は
どちらが良い・悪いでは無くて、
それぞれ得意分野があり
目的によって使い分けられています。
乳化剤とは?化粧品でよく使われる種類と特徴
乳化を安定させるという目的で
市販の化粧品では、
科学的に水と油を乳化させる薬剤が使われています。
成分表に
「~ソルベート」「~ステアリン酸」とあれば
乳化剤の可能性大です。
代表的な乳化剤
非イオン系乳化剤
- 刺激が少なく安定性が高い
- pHやイオンの影響を受けにくい
- 例:ポリソルベート、ソルビタン脂肪酸エステル
- 使用例:敏感肌向け乳液、クリームなど
アニオン系乳化剤
- 泡立ちや洗浄力があり乳化力もある
- やや刺激がある
- 例:ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム
- 使用例:洗顔フォーム、泡立つ乳液など
カチオン系乳化剤
- 肌や髪に吸着しやすく、しっとり感を出す
- 例:セトリモニウムブロミド
- 使用例:コンディショナー、トリートメント、リッチクリームなど
両性イオン系乳化剤
- pHに応じてプラス・マイナス両方の性質を持つ
- 刺激が少ない
- 例:コカミドプロピルベタイン
- 使用例:敏感肌向け乳液、低刺激クレンジングなど
私が手作りでやった即席乳化は、
科学的な乳化剤を使ったわけではありません。
だから、
肌にとって
不要な成分を使わなくてもいいという
安心感があります。
でも
市販されている多くの化粧品は
効果だけでなく
商品の安定性や長期保存できることがまず第一。
そのため、
乳化剤や界面活性剤などの成分を入れて
水と油を分離させず、
最後まで品質を保つ工夫がされています。
まとめ:乳化を知って化粧品選びをもっと楽しく!
乳化の仕組みや乳化剤を理解すると、
市販の乳液やクリームを選ぶときに
目線が変わります。
- 成分表に「~ソルベート」「~ステアリン酸」があれば乳化剤
- O/W型は浸透重視、W/O型は保護・保湿重視
- 肌質や季節に合わせて使い分けが可能
私も一消費者として
コスメに限らず食品や雑貨など、
現代は本当に
さまざまな商品に囲まれています。
正直なところ、
「とりあえず売るためだけに作られたんだな…」
と残念に感じるものもあれば、
「使う人のことを本気で考えて作られているな」
と思えるものもありますよね。
だからこそ、
選択肢が多い今の時代は
自分で見極める力を持つこと
賢く選ぶことの大切さを日々感じています。
私自身、
手作り化粧水の体験を通して
乳化の仕組みや
化粧品選びのヒントに出会えました。
そのおかげで
毎日のスキンケアがより楽しく、
納得感のあるものになっています。
この記事が、
読んでくださった方の
「何かの気づき」につながれば幸いです。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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